アイヌ神謡集 知里幸恵・知里真志保作品集【電子書籍】[ 知里幸恵 ]
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(知里幸恵と知里真志保について) 知里 幸恵(ちり ゆきえ)は北海道登別市出身のアイヌ人女性です。
十九年という短い生涯を終える直前『アイヌ神謡集』を書き上げ、絶滅の危機に追い込まれていたアイヌ民族・アイヌ伝統文化の復権復活へ重大な転機をもたらしました。
『アイヌ神謡集』は、フランス語・英語・ロシア語にも翻訳されています。
弟の知里真志保とともに「アイヌの天才姉弟」と評されました。
知里真志保(ちり ましほ)は、知里幸恵の六歳下の弟です。
アイヌの言語学者で文学博士で、専攻はアイヌ語学です。
大学での指導教授は、金田一京助でした。
アイヌ民族の視点からアイヌ語を理論的に研究し、『分類アイヌ語辞典』で朝日文化賞を受賞。
その他にも、アイヌ語地名研究者の山田秀三とも共同しながら、アイヌ語学的に厳密な解釈を徹底させたアイヌ語地名の研究を進め、数々の論文や『地名アイヌ語小辞典』などを刊行し、北海道の地名研究を深化させました。
また、言語学者・服部四郎との共同で北海道・樺太各地のアイヌ語諸方言の研究を行いアイヌ語の方言学の基礎を築きました。
(この作品集について) この作品集には、以下の著作を収録しました。
アイヌ神謡集 手紙 日記 (以上、知里幸恵) えぞおばけ列伝 言語と文化史 ーーアイヌ文化の探究にあたりてーー アイヌ族の俚謡 アイヌ宗教成立の史的背景 あの世の入口ーーいわゆる地獄穴についてーー アイヌ語学 和人わ舟お食う (以上、知里真志保) アイヌ神謡集 序より(知里幸恵) その昔この広い北海道は、私たちの先祖の自由の天地でありました。
天真爛漫な稚児の様に、美しい大自然に抱擁されてのんびりと楽しく生活していた彼等は、真に自然の寵児、なんという幸福な人だちであったでしょう。
冬の陸には林野をおおう深雪を蹴って、天地を凍らす寒気を物ともせず山又山をふみ越えて熊を狩り、夏の海には涼風泳ぐみどりの波、白い鴎の歌を友に木の葉の様な小舟を浮べてひねもす魚を漁り、花咲く春は軟らかな陽の光を浴びて、永久に囀《さえ》ずる小鳥と共に歌い暮して蕗《ふき》とり蓬《よもぎ》摘み、紅葉の秋は野分に穂揃うすすきをわけて、宵まで鮭とる篝《かがり》も消え、谷間に友呼ぶ鹿の音を外に、円《まど》かな月に夢を結ぶ。
嗚呼なんという楽しい生活でしょう。
平和の境、それも今は昔、夢は破れて幾十年、この地は急速な変転をなし、山野は村に、村は町にと次第々々に開けてゆく。
(古典教養文庫について) 古典教養文庫は、日本のみならず広く世界の古典を、電子書籍という形で広めようと言うプロジェクトです。
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