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医師免許を持ちながらフーテンの寅さん状態の拓志。
製薬会社のご令嬢との結婚から逃げ、曾祖父の形見のイタリア車フィアットに乗り、海外渡航を繰り返しながら、難病治療の方法を模索していた。
そんな彼に偶然出逢った堕天使デューティーは、自分が堕天した理由を知らずに、カレの守護天使となってゆく……。
愛する者を守護していた天使が、彼を自分の側に引き込もうとする。
この世から彼岸へと連れてゆこうと、彼の幼馴染の美人看護師との縁を断たせ、彼を独占しようとしていた堕天使。
守護天使が人間を彼岸（冥界?天国）へと引き込む為に、彼の生命の灯をまるで、暴風雨のように吹き消そうととする悲劇の人生を歩ませた結果、自分が堕天使になった事を、彼女はまた繰り返そうとしていた・・・・・・。
聖書では命令を伴う義務としての神様の最初の教えが、親を敬愛しなさいという事だった。
英語で親孝行を意味するデューティー。
その花言葉を持つシオンの花……。
フランスアニメ「パール横丁のポエト」の指人形を探しながら、老人の指遊びで、痴呆を予防する為の指人形遊び。
主人公の父親の経営する大手ゼネコンが、介護施設に医師を常駐させる為のグループホームを全国規模で建設する計画と、製薬会社のご令嬢との縁組。
拓志がその父親の計画を頓挫させた原因として、彼を倦厭する双方の会社の役員達の中には、彼の悲劇の末路を望む筋書きを立てる者がいた。
指遊びか・・・・・・。
人の10本指。
右手の家族と左手の家族。
重たい荷物を両手で運ぶ・・・・・・。
自分が背負う大きな荷物さえ、世界の空を風が運び、声高に叫ぶ誰かの声さえ遠くに運ぶ風が東京品川の倉庫街でダンボールを躍らせる時、堕天使の頭上で回転する風のリングが天空へと昇華する。
風に吹かれて変わらないものと、変わるものは、風が高気圧から低気圧へ流れる空気の流れであって、中心部の低い気圧の目に流入する風の流れは、その問題の中心へと流れ込み、そこで昇華される……。
ベストの解決方法がない時に、人はベターで納得する。
誰かにとってベストな存在なのか、ベターでしかないのかを判断するのは当の本人だが、ベストな伴侶など誰にとってもいる訳がない。
思い込みで流入する思いをはねつけるように、問題の中心部へ風が流れてゆく・・・・・・。
恐らく何かは変わる。
この小説を誰かが読んで下さったの心で吹いている風が西風なのか、東からなのか、北風なのか、それとも南風なのか？
野球場で吹く潮風が、フォローの中で打ち損じたボールをスタンドまで運ぶ奇跡が起きるのかもしれない……。
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