首飾り ダイヤモンドの輝き【電子書籍】[ さくら 京子 ]
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05月08日 13時58分更新
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夏、真っ盛り。
野口英明君はバイトに精を出していた。
バイト料のいい宅配の仕事。
車で家々に宅配して回る、それだけの仕事だった。
一言で言えば。
しかし炎天下、実際にそれを行うのは、某私立大三年、山岳部で鍛えた野口英明君ではあったが、それでも結構きつかった。
地図とにらめっこしながら、狭く曲がりくねった住宅街の路地を行ったり来たり。
安全運転への配慮の神経も要した。
頭上には熱い太陽。
ゆらゆらと揺らめく路上。
フロントガラスから情け容赦なく降り注ぐ太陽光線。
宅配車の中は一応クーラーは効くものの、炎天の中を駆け回る、乗り降り停車の繰り返しだったから、ゆっくりクーラーに浸っている時間なんて殆ど無かった。
お昼をその辺の大衆食堂で取ったあと、公園の木陰に車を止めて、三十分ばかり休憩した野口英明君は、再び午後の仕事に取りかかるために、地図とにらめっこして、宅配する家の順番を検討した。
相変わらずギラギラ頭上で輝いている太陽を、一瞬恨めしそうに仰いだが、首にかけたタオルで汗を拭うと、さて、出発するか、とハンドルを握った。
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